【図解で解説】iDeCoのおすすめの受取方法は?一時金方式と年金方式についても紹介!

iDeCoで一番分かりづらく悩むのが、複雑な受取方法についてでしょう。
iDeCoを始めようと思ったものの、受取方法が難しくてやめた…という人もいるはずです。
「結局どう受け取るのがお得なの?」という悩みを解決すべく、図解をまじえながら、分かりやすく解説していきますね。
全部をすべて理解する必要は無く、最低限のポイントだけちゃんと押さえておけば、そこまで難しくありませんよ。
サラリーマンや公務員の方にもおすすめの受取方法を紹介したので、ぜひ参考にして下さい!
- iDeCoの受取方法は2種類ある(一時金方式もしくは年金方式)
- iDeCoは受取時に税金がかかるが、所得控除での優遇がある
- 特に一時金方式での退職所得は、かなり優遇されている
- サラリーマンや公務員の方は何歳まで働くかにより、おすすめの受取方法を選べばOK(受取方法だけ知りたい方はこちらからジャンプ)
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0.そもそもiDeCoとは?
①iDeCoとは
■iDeCo(個人型確定拠出年金)とは…
- 個人:国や企業ではなく自分で用意する
- 確定拠出:拠出(出すお金)は決まってるが、いくらもらえるかは運用次第
※いくらもらえるか決まってるのは「確定給付」型 - 年金:60歳以降に受け取れる
iDeCoと聞くと分かりづらいですが、日本語での個人型確定拠出年金という言葉を分けるとイメージがしやすいですね。
特に、「個人型」と「確定拠出」に注目すると、理解が早いですよ。
年金は国や企業からももらえますが、そうではなく自分で用意するのが個人型の年金です。
私的年金とも呼ばれ、本記事で紹介しているiDeCoはまさに自分で用意する年金ですね。
またiDeCoは確定拠出と言って、出すお金は確定してますが、実際にいくらもらえるかは運用次第です。

②iDeCoの受け取り時期について
iDeCoは原則60歳から受取開始ですが、受け取る時期を70歳まで伸ばす事もできます。
ただし掛金を出せるのは60歳までなので、60~70歳のあいだは新たに掛金は出さず運用のみを行うイメージですね。
50歳以降に運用を始める方の注意点としては、下記のように受取可能な年齢が後ろ倒しになるので、気をつける必要があります。
通算加入期間 | 受取可能な年齢 |
---|---|
10年以上 | 60歳以降に受取可 |
8年以上 | 61歳以降に受取可 |
6年以上 | 62歳以降に受取可 |
4年以上 | 63歳以降に受取可 |
2年以上 | 64歳以降に受取可 |
1ヶ月以上 | 65歳以降に受取可 |
1.iDeCoの受取方法は2種類ある(一時金方式もしくは年金方式)
iDeCoの受け取り方には2種類あり、一時金としてまとめてもらうか、年金として毎年分けてもらうかで、金融機関によっては両方を選ぶ事も可能です。
そして一時金で受け取るケース、年金で受け取るケースそれぞれ一定額まで非課税になる優遇がされています。
たとえば一時金だと、30年積立している場合は1,500万円まで非課税。
年金だと、65歳から受け取る際は国や企業の年金とあわせて年120万円まで非課税というイメージですね。
[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”pentagon-kangae.png” name=”ペンタごん”] あれ?受け取る時に税金ってかかるんだっけ?[/speech_bubble]iDeCoは掛金が所得控除になる節税メリットと、運用中の利益が非課税になる節税メリットの2つがお得なポイントです。
ただし、受取時には税金がかかってくるので、ここの理解が必要なんですね。
2.iDeCoの受取時は税金がかかるが、所得控除での優遇がある
iDeCoは受取時に税金がかかるのでいっけんメリットが無いように感じますが、そこはちゃんと控除(こうじょ)があって優遇されています。
控除とは分かりやすく言うと経費のイメージで、控除の分だけ所得税が安くなるんですね。
たとえば、一時金でまとめて受け取る際は、退職所得控除を使う事ができ、先ほど挙げた通り30年積立している場合は1,500万円まで非課税となります。
また、年金でコツコツ受け取る際も、公的年金等控除が利用できます。
では実際にどれくらいお得にできるのかを、それぞれのケースで見ていきましょう。
3.iDeCoの受け取り方を、一時金方式としたケース【退職所得】
①退職所得控除の計算方法
勤続年数 | 退職所得控除の計算 |
20年以下 | 40万円 × 勤続年数 (80万円以下のときは、80万円) |
20年超 | 800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年) |
まずは一時金として、一括でiDeCoを受け取ったケースについて。
このケースでは、退職所得となって利用できる控除も退職所得控除となります。
■iDeCoで運用した期間を勤続年数と考える
例)iDeCoで30年間運用したら…
- 800万円 + 70万円 ×(30年 - 20年)=1,500万円が退職所得控除
→つまりiDeCoの元本+運用益が1,500万まで税金がかからない!
退職所得控除の計算方法は比較的簡単で、iDeCoで運用した期間を勤続年数と考えましょう。
たとえばiDeCoで30年間運用したら、上記の計算式により1,500万円が退職所得控除となります。
つまり、iDeCoの元本+運用利益の合計が、1,500万円まで税金がかからないというわけですね。
また、退職所得控除を超えてかかる分についても、課税されるのは1/2つまり半分だけとなります。
[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”pentagon-okane11.png” name=”ペンタごん”] これはすごい!ぶっちゃけほぼ税金かからないって事でしょ!?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”j11122233344444.jpg” name=”亮平”] ただし、会社から退職金もらう人は注意点があるよ[/speech_bubble]
②【注意点】会社から退職金をもらった際はiDeCoと合算
■会社勤務35年、iDeCo加入30年とすると…
- 退職金への退職所得控除:800万円 + 70万円 ×(35年 - 20年)=1,850万円
- iDeCoへの退職所得控除:800万円 + 70万円 ×(30年 - 20年)=1,500万円
→「会社の退職金+iDeCoの合計(元本+運用益)」が1,850万を超えると税金がかかる!
同じ年に会社からの退職金とiDeCoで運用したお金をまとめて受け取ると、年数が長い方のみ退職所得控除が適用されます。
たとえば、上記のように会社勤務35年、iDeCo加入30年とすると、年数が長い会社勤務の方のみ退職所得控除が使われるというわけですね。
つまり、終身雇用などで1つの企業に長く勤めた会社員の方は、退職所得控除を超えて税金が多くかかるかもしれません。
[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”pentagon-kangae.png” name=”ペンタごん”] 受け取る時期をズラせば良いんじゃないの?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”j11122233344444.jpg” name=”亮平”] 受取時期をズラしても重複期間はNGになるんだ[/speech_bubble]■会社勤務25~55歳、iDeCo加入30歳~60歳とすると…
- 退職金への退職所得控除:800万円 + 70万円 ×(30年 - 20年)=1,500万円
- iDeCoへの退職所得控除:40万円 ×5年=200万円(重複期間は除外)
→iDeCoの合計(元本+運用益)が200万を超えると税金がかかる!
仮に受け取る時期をズラして会社からの退職金を少し早くもらったとしたとします。
その際でも、会社の退職金受取から15年以内にiDeCoの一時金を受け取ると重複期間が除外されるというルールがあります。
たとえば上記の例だと、iDeCoの退職所得控除は、重複していない5年分=200万円のみとなるんですね。
iDeCoを60歳で受け取って、会社の退職金を65歳に受け取れば重複にはあたらないんだ[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”pentagon-okane11.png” name=”ペンタごん”] なるほど!最近は勤務延長で65歳まで働く人も多いもんね[/speech_bubble]
■会社勤務25~65歳、iDeCo加入30歳~60歳とすると…
- 退職金への退職所得控除:800万円 + 70万円 ×(40年 - 20年)=2,200万円
- iDeCoへの退職所得控除:800万円 + 70万円 ×(30年 - 20年)=1,500万円(重複期間は除外されず)
→iDeCoの合計(元本+運用益)が1,500万を超えると税金がかかる!
逆に、iDeCoの一時金を受け取った後に会社からの退職金をもらったケースを考えましょう。します。
この場合は、iDeCoの一時金受取から5年以内に会社の退職金をもらうと重複期間が除外されるというルールがあります。
つまり、5年空ければ重複にならないので、会社の退職所得控除もiDeCoの退職所得控除も両方まるまる適用できるのでおすすめです。
■iDeCoを30年運用して、一時金2,000万円、退職所得控除1,500万円とすると…
- 退職所得:2,000万円 - 1,500万円=500万円
- 課税される退職所得:250万円 (500万円 × 1/2)
- ・所得税:250万円 × 【10% - 9.75万円(所得税の速算表より)】=15.25万円
・住民税:250万円 × 一律10% = 25万円
→所得税・住民税あわせて40.25万円の税金がかかる!
(別途、復興特別所得税もかかる)
退職所得の税金はかなり優遇されているので、上記のケースだと2,000万円の一時金に対し所得税・住民税あわせて40万円とたった2%しかかかりません。
しかも退職所得は分離課税といって、他の所得とは分けて計算されるので、累進課税から見て税金が安くなる点も魅力ですね。
なのでiDeCoは、基本的には次に説明する年金受取より、一時金で受け取った方がお得になりますね。
ちなみに所得税の計算方法は、以下の速算表を使うとすぐに分かりますよ。
住民税は、課税される退職所得に一律10%で計算すればOKです。
>>参考:所得税の税率|国税庁
4.iDeCoの受け取り方を、年金方式としたケース【雑所得】
①公的年金等控除の計算方法
年金受取時 | 公的年金等の合計 | 割合 | 控除額 |
65歳未満 | 70万超~130万 | 100% | 70万 |
130万~410万 | 75% | 37.5万 | |
410万~770万 | 85% | 78.5万 | |
770万~ | 95% | 155.5万 | |
65歳以上 | 120万超~330万 | 100% | 120万 |
330万~410万 | 75% | 37.5万 | |
410万~770万 | 85% | 78.5万 | |
770万~ | 95% | 155.5万 |
次に年金として、コツコツiDeCoを受け取ったケースについて。
受取方法の詳細としては、たとえば楽天証券なら5年以上20年以下の期間から1年刻みで選択し、さらに毎月や3ヶ月に一度などもらう頻度を選べます。
このケースでは、雑所得となって利用できる控除も公的年金等控除となります。
■65歳で国や企業からの年金+iDeCoで受け取る年金が年350万円なら…
- 350万円 × 75% - 37.5万円 =225万円が雑所得
- ・所得税:225万円 × 【10% - 9.75万円(所得税の速算表より)】=12.75万円
・住民税:225万円 × 一律10% = 22.5万円
→所得税・住民税あわせて35.25万円の税金がかかる!(基礎控除などは考慮せず)
先ほどの一時金でもらうケースと比べると、少し見劣りを感じますね。
それだけ、退職所得の税金はかなり優遇されているとも言えます。
②【注意点】国や企業から年金をもらった際はiDeCoと合算
国や企業から年金をもらった際は、iDeCoと合算して計算されます。
つまり、65歳以上なら、厚生年金などとiDeCoの合計額が年間120万円を超えると、先ほどの表に照らし合わせた税金がかかってくるというわけですね。
[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”pentagon-kangae.png” name=”ペンタごん”] 厚生年金を月20万もらっただけでも年240万だから税金かかるじゃないか…なんか良い方法ない?[/speech_bubble] [speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”j11122233344444.jpg” name=”亮平”] 今は国の年金は65歳からだから、60~65歳まではiDeCoの年金はまるまる非課税にできるよ[/speech_bubble]
年金の控除を上手く使うとしたら、厚生年金をもらい始めるまでの60~65歳がチャンスでしょう。
この5年間はiDeCo年金のみで公的年金等控除を使えるので、年間70万円(基礎控除入れると108万円)までは税金がかかりません。
なので、後ほど紹介する通り、iDeCoの一時金と年金の受取の併用を使って、60~65歳までは年金受取、残りを65歳に一時金受取とする方法はアリだと思います。
国からの公的年金の受取開始を65→70歳まで繰り下げれば、さらにiDeCo年金を非課税でもらえる期間が伸びます。
加えて公的年金は、年齢を繰り下げてもらうと、1ヶ月ごとに0.7%(5年で42%)増えるので、あわせてお得になりますね。
5.【サラリーマン・公務員向け】iDeCoのおすすめの受取方法3種類を紹介
■サラリーマンの方なら、会社でいつまで働くかを考えて…
- 勤務延長するなら、60歳でiDeCo一時金を受け取り、65歳で退職金を受け取る
- 勤務延長しないなら、60~65歳はiDeCo年金を受け取り、残りを65歳でiDeCo一時金で受け取る
- 早期退職なら、たとえば50歳で会社の退職金を受け取り、iDeCo一時金を65歳で受け取る
個人事業主の方などは小規模企業共済などを利用していない限り、基本的に退職金が無いのでiDeCoの受け取り方は一時金で問題無いでしょう。
サラリーマンや公務員で退職金が多く見込める方は、いつまで働くかで3つの選択肢を持てば良いと思います。
今までのおさらいを兼ねて、さっと紹介していきますね。
①【勤務延長あり】60歳でiDeCo一時金を受け取り、65歳で退職金を受け取る
もうお分かりの通り、退職所得はかなり優遇されているので、基本は一時金でまとめてもらう事をメインに考えましょう。
上記は先ほどお話した、「iDeCoの一時金→会社の退職金」のケースですが、5年空ければ退職所得控除を両方でフルに使えます。
勤務延長を考えている方なら、この方法が最も分かりやすく、かつ所得控除の額も大きくなるのでおすすめです。
②【勤務延長なし】60~65歳はiDeCo年金を受け取り、残りを65歳でiDeCo一時金で受け取る
勤務延長をしない方であれば、年金受取による公的年金等控除を上手く使いましょう。
上記の通り65歳から厚生年金を受け取る際は、60~65歳の5年間はiDeCo年金のみで公的年金等控除を使えます。
で、残りを65歳にiDeCo一時金受取とすれば、iDeCoにかかる税金をだいぶ減らせますよ。
この一時金受取と年金受取の併用は、現状SBI証券ではできません。
今後改善される可能性はじゅうぶんありますが、迷ったら楽天証券で開いておくのがベターでしょう。
追記:SBI証券でも併用が可能になりました!(参考リンク)
③【早期退職】50歳で会社の退職金を受け取り、iDeCo一時金を65歳で受け取る
最後に、早期退職を考えている方へ。
「会社の退職金→iDeCoの一時金」のケースでは、15年空ければ退職所得控除を両方でフルに使えます。
たとえば50歳で退職なら、iDeCo一時金は65歳まで伸ばして受け取りとしましょう。
ただしiDeCoの退職所得控除は掛金を払っている期間で計算なので、65歳まで伸ばしてもカウントは30~60歳の30年分(つまり1,500万円)となる点のみ注意が必要ですね。
6.まとめ:【図解で解説】iDeCoのおすすめの受取方法は?一時金方式と年金方式についても紹介!
[speech_bubble type=”fb” subtype=”L1″ icon=”pentagon-okane11.png” name=”ペンタごん”] iDeCoの受取方法がよくわかった![/speech_bubble]
[speech_bubble type=”fb” subtype=”R1″ icon=”j11122233344444.jpg” name=”亮平”] 今のうちにどう受け取るか、ざっくりでも考えておくと良いよ[/speech_bubble]いかがだったでしょう。
iDeCoは節税メリットがかなり大きいですが、出口で税金がかかるので上手に受け取る必要があります。
受取方法自体は2種類しかないので、そこまで難しくはありません。
本記事で紹介したように、自分に合った受け取り方を考えてみましょう!
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