「いつでも戻って来い」と、退職時に言って貰えた事は忘れない

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去る者に対して、態度が厳しすぎる企業は多いと思う。

 

就活時期によく話題になるような、内定辞退に絡んだ話もそうだ。

「ウチを蹴ってどこに行くつもりだ」と言わんばかりに詰めてきたり、いまだに囲い込みをする会社もあると聞く。

 

かく言う僕も、銀行の退職時にはさまざまな言葉を投げかけられた。

「君の言う事は理屈じゃない。会社を辞めたら、きっと後悔するぞ」

そんな冷たい言葉も貰ったし、人生の落伍者かのように突き放してくる人もいた。

悔しくて辛い経験だったが、それよりずっと忘れられない出来事があった。

 

忘れもしないその人は、当時僕がいた部署の副部長の方だった。

あまりちゃんと話した事は無かったが、僕の退職の話を耳にしてからはやたら親身になってくれた。

「お前、会社辞めるんだって?ちょっと二人で話さないか」

歳で言えば30近くは離れていただろう。

しかも平社員の僕とは仕事で関わる事も無い、ずいぶん偉い人だ。

 

彼は優しい口調で、自分の辛かった経験や、それでも辞めなかった話もゆっくりと聞かせてくれた。

その上で、僕の話もずいぶん丁寧に聞いてくれたのをよく覚えている。

「大丈夫か?

退職を一度口にしてしまって、後戻りが出来ないかのように強がってしまう奴もいるんだ。

君は、強がっていないか?」

 

嬉しかった。

もう彼の人生の中で二度と関わらないかもしれない僕に、ここまで優しくして貰える事が。

退職時に貰えた、数少ない温かい言葉だった。

 

最終出勤日。

僕はお世話になった人達に頭を下げて回っていた。

 

一通り終えて、最後に向かったのは、その副部長の方のところだ。

改めて、御礼の言葉を伝えた。

 

ろくに関わりも無かった自分に、ここまで親身になって下さった事。

いろんな話を聞いて下さった事。

 

きっとこの人も、いろんな悩みや葛藤を抱えて、今この格式高い椅子に座っているんだろう。

彼は、冗談のような軽い口調で、最後にこう言ってくれた。

「戻りたくなったら、いつでも帰って来い。待ってるからな」

泣くのをこらえて、その言葉を噛みしめた。

本当に、嬉しかった。

もちろん形式的な世辞だとは思うが、冷たい言葉を多く浴びてきた自分には、いっそう温もりのあるメッセージに感じた。

 

去る人を非難するより、寛容な精神でいつでも迎えてくれる企業が、長い目で見て繁栄していくと思う。

どんな時代になっても、これはきっと絶対的な法則だろう。

僕は外に出て、もう一度会社にお辞儀をして、自分の道を進んだ。

 

 

 

 

あれから2年。

あの人とはもう二度と会う事は無いと思うし、僕が銀行に戻る事もきっと無い。

 

 

 

 

それでも、感謝の気持ちは消えない。

 

 

▼僕の銀行員時代の話は、以下よりどうぞ(全六話)▼

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